全日本ピアノコンクール

鈴木英子さん

今年度、一般プロ:U55の部で最優秀賞に輝いたのは、鈴木英子(すずきえいこ)さん。体調がすぐれない日々が続き、回復したのを機にリハビリのようなつもりで、一昨年からコンクールに出場した鈴木さん。ピアノを始めて50年というベテランの鈴木さんのモチベーションを保つ秘訣をお聞きしました。

鈴木英子さん

4歳からレッスン歴50年!

現在、YAMAHA音楽教室でピアノ講師を行う鈴木さんは、4歳からピアノを始めて50年。受賞歴は、ヤマハ 演奏グレード2級取得、 日本クラシック音楽コンクール第4位(最高位)、大阪国際コンクール第3位、三善晃ピアノコンクール特別部門第2位、全日本ピアノコンクール第1位と輝かしいものです。現在 濱本恵康氏に師事しています。

最近まで体調が、すぐれなくて悩んでいたそうですが、体調が回復したので、リハビリのようなつもりで、一昨年からコンクールへの出場をするようになりました。

「今回のコンクールでは、人前で無事に演奏できただけで十分満足でしたが、最高位をいただけて、とてもうれしかった」と顔をほころばせました。何年も人前での演奏にブランクがあったので、無事に弾けるかどうかが不安だったと言います。年齢もあって暗譜が大変で、暗譜したつもりなのにふと弾けなくなったこともあります。今回は最後まで弾けたことだけでもよしとしていました。

練習するモチべーションを高めるためにコンクールへ参加

あまり練習が好きではないという鈴木さんは、練習をするモチベーションを高めるためにも人前で演奏する機会を作っているとのことです。

今回の講評で、印象に残っているのが、「演奏が早かった。早く弾きすぎましたね」のもの。鈴木さんは我を忘れて早く演奏しすぎてしまい、飛ばしてしまうことが多いのだそうです。今回の演奏では、ピアノが素晴らしいものでしたので、課題曲エチュードでつい飛ばして演奏してしまったそうです。テンポが速いものは余計にそうなりがちだと言います。

講評では、マイナス面でなく、良い面も指摘してもらえます。

ほかのコンクールでも講評でよく言われることに、集中力が高いことです。

演奏会でピアノを弾く

作曲家へのあこがれ

鈴木さんは、子どもの頃、ピアノのレッスンをする兄についていき、自分も弾きたくなって習わせてもらったそうです。音にすごく興味があった。弾きたくて仕方なかったのを覚えているとのことです。

小さいころから作曲家へのあこがれがあり、作曲家になりたいと思っていた鈴木さん。ヤマハでは、曲をアレンジしたり、簡単な作曲をしたりするそうです。

近現代の曲を聴いて、どうやって作っているのかが気になり、作曲を勉強したいと思っていたと言います。

高校からピアノ科に入学し、世間が見えてきて、作曲家で食べていけないということがわかりました。食べていくのには演奏もしなくては、今も作曲家へのあこがれは持ち続けていると言います。

つらいことは忘れる

苦しかったことやつらかったことをお伺いしたのですが、「忘れます。自分の長所だと思う、つらいことは覚えてられないんです」と笑いながら話してくれました。コンクール等で失敗しても、直後は落ち込むけれどすぐ忘れると言って笑っていました。

将来の夢についてもお伺いしましたが、「生涯現役が 目標です」ときっぱり!

近い将来の目標として、夏に受賞者演奏会がある。オペラシティで演奏できるを大変楽しみにしているとのこと。そのために日々練習をしています。

教え子が成長していて集中して演奏している姿に偉いなあと尊敬し、そんな生徒さんに刺激を受けて、自分もがんばろうと思ってコンクールに参加するようになったと言います。

何かしらコンサートに参加して、そのためにレッスンをするようにしています。自分で目標を決め、レッスンをして、コンクールへの参加を楽しんでいきたいと語ってくれました。

コンクールは間違えても自分の責任、演奏のプロは間違えることは許されないです。最はコンサートも細分化していて、年齢にかかわらず出られる、チャレンジしやすいです。10年前と比べたら、年齢が高くても探せば参加できるコンクールはたくさんあります。

今は人口も減っているので、教え続けるのは大変だと思いますが、自身での演奏を楽しみながら生涯現役でいることが目標ですと、笑顔で語ってくれました。

実家(長野県 駒ヶ根)のリンゴ畑と南アルプス

 

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