全日本ピアノコンクール

B級田中康太郎さん

田中康太郎さんは、所沢市立若松小学校 4年生です。コンクールへの出場経験はまだ浅く、今回が2回目。ご本人もご家族も驚くなかでの、堂々の最優秀賞でした。

田中康太郎さん

「ブロック大会は7位でしたから、全国大会の結果は誰も予想していませんでした。だから驚きのひとことです」とお父さん。「いまもまだ信じられないくらい嬉しい」と康太郎さんも振り返ります。
康太郎さんが初めてコンクールに挑戦したのは、小学校3年生の時。先生から勧められたことがきっかけでした。わかりやすい目標ができたことで、普段の練習にも気合が入るようになったと言います。結果は、部門賞受賞。1回目のチャレンジから、「努力が結果に結びつく」ということも学ぶことができました。

今回のコンクールが初挑戦のコンクールと違ったのは、全国規模という点です。地区大会にはじまり、ブロック大会でも結果を残さなければ全国大会には進めません。また、オンライン審査も、康太郎さんにとっては初めての経験でした。全国大会はホールでの演奏でしたが、審査員からは「鮮やかでいて音のバランスがよく、立派な演奏」と評価されました。前回のコンクールから勢いに乗った状態で次の目標を掲げることで、「緊張感をもってピアノに接することができた」と話します。

全国大会での演奏

4歳からピアノを習い始めましたが、先生はクラシック曲だけではなく、ポピュラー曲にも取り組んだりと、“楽しむ”ということを重視してレッスンしてくれています。「ピアノの音が好き」という康太郎さん。それに「うまく弾けた時にはすごく嬉しい。うまく弾けない時には次にまた挑戦しようと思える」ところが、ピアノの魅力です。上手に弾けると先生が褒めてくれるし、お教室の発表会には幼稚園や学校のお友だちが聴きにきてくれるので、励みになっています。

普段は、短い時間で集中できるように20分ごとに休憩をはさみながら練習しています。ハノンなどの基礎練習から始めて、ミスしがちなところは何度も繰り返します。自宅練習ではお父さんがついてくれますが、レッスンで先生からアドバイスしてもらったことをノートに書き留めておいて、その内容を意識しながら進めています。大切にしているのは「音のもつイメージを想像しながら弾く」こと。「指を針のように」とか「ゆらぎのメロディで歌うように」など、先生もイメージしやすい言葉で指導してくれます。

今回のコンクールでは、少しつらい思いも味わいました。全日本ピアノコンクール2021は、地区大会と全国大会でおなじ曲の演奏が可能というフォーマットになっており、康太郎さんも地区大会とおなじく、ベルコヴィッチ作曲「パガニーニの主題による変奏曲 」を演奏するつもりでエントリーしました。ところが、「どう表現したらいいのかわからなくなって、毎日の練習もつらくなってしまった」という康太郎さん。「地区大会よりも、よりよく弾くためにどうすればいいかを考え、先生のご指導のもと練習しましたが、思うように弾けなくて、スランプ状態に陥ってしまった」とお父さん。一時期はピアノに触ることさえ出来なくなってしまいました。でも「全国大会の直前になって、何かをつかんだように急に成長が見られた」とお父さんは振り返ります。

康太郎さんが、ピアノとおなじくらい好きなものが、宝石や鉱石です。もっと小さなころは昆虫などの生き物が好きでしたが、海でシーグラスを拾ったことがきっかけで、海に落ちている琥珀や翡翠を探すようになりました。それが、化石や鉱物、隕石などへの興味につながっていきました。将来は、「鉱物学者になりたい」と康太郎さん。音楽も鉱物も、夢は大きく広がります。

自分が「好きだな」と思えるものがあるのは素敵ですね。今回はメールでのインタビューとなり直接お話を伺うことが叶いませんでしたが、きっとまたどこかで演奏を聴かせていただけることと思います。康太郎さんらしさを大切に、これからも自分の好きなことに向き合ってくださいね。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※インタビューは3月下旬に行いました。

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