全日本ピアノコンクール

髙橋玲広さん  杉浦花音さん

連弾部門U15の部最優秀賞は、大分市立大東中学校1年の髙橋玲広さんと大分市立松岡小学校6年の杉浦花音さんのペア。ふたりはおなじピアノ教室の先輩後輩の間柄。先生の勧めでデュオを組んで、まだ1年です。デュオとして初めて出場した連弾のコンクールで、最優秀賞に輝きました。

髙橋玲広さん・杉浦花音さん

審査員からは総じて「息の合った演奏」と高く評価されたふたり。バランスがよく、自由さも感じられる余裕のある演奏は、聴く者に強い印象を残しました。
デュオを組んだのは1年前。「連弾も勉強になるから」と、師事する佐藤智美先生から勧められ始めましたが、「やってみると息が合い、楽しく弾いています」と花音さん。全日本ピアノコンクールへの出場も先生の勧めで、「連弾をもっと学ぶために、レベルの高い審査員の先生方からご指導いただきたいと思い、参加しました」。玲広さんも、「素晴らしい先生方に審査していただけるコンクールで、挑戦したいと思いました」と振り返ります。
そして、結果発表。家族みんなで歓声をあげたという花音さんは「とても嬉しい。横浜まで行くことができ、最優秀賞をいただけて、今まで頑張ってきてよかったと強く思いました」。「まさか最優秀賞をいただけるとは思っていなかったので、びっくりしています。ほんとうに嬉しい」と玲広さんも言います。

いい結果は頑張ったご褒美

現在、小学校6年生の花音さんは、全国大会の2週間後に中学受験を控えていました。普段は、勉強との両立のため、時間の使いかたを工夫して練習。朝は10分でも練習できるように心がけ、夜は学校や塾の宿題をはやく終わらせて、できるだけ長い時間を確保するようにしています。全日本ピアノコンクールが嬉しい結果に終わったとともに、受験も無事に合格。春からは中学生です。
中学1年生の玲広さんは、勉強と部活が忙しく、ピアノの練習時間確保にとても苦労していると言います。平日は部活が終わったらどうにか時間を作り、休みの日は昼間からずっと弾くようにしています。「もっと効率よくできればいいのですが……なかなかうまくいかなくて、辛いところです」。

効率よく練習時間を確保することが目標

ふたりが出会ったのは、花音さんが幼稚園に通っていたころ。発表会などを通して一つ年上の玲広さんのことを知りました。小学校1年生ながら耳コピで弾く姿に驚いたと言います。それ以来、小学校もおなじだった玲広さんは、花音さんにとって憧れの先輩となりました。
先生のもと、それぞれに成長してきたふたり。今では「なんでも言い合えるので、練習しやすい」と玲広さん。「お互いの意見を話し、確認しながら進めています」。息を合わせるために相手の音をよく聞いたり、全体の音のバランスを考えたり、ペダルを踏む部分は音が濁っていないかなどを確認したり。「コミュニケーションが大切。意見を言い合ったり笑い合ったりしています。息が合わないときは、ふたりで何度も特訓します」と花音さん。「ふたりで一つの曲を作り上げる楽しさや響きを感じることができて、連弾は大好き」。玲広さんも、「ふたりで弾いたときの達成感や満足感はとても魅力的」だと感じています。

大切なのはコミュニケーション

花音さんは、ピアノはもちろん、歌うことも大好きです。最近はカラオケアプリを使用して、自宅で大声で歌ったり妹と踊ったりして楽しんでいます。中学生になったら吹奏楽部に入ろうと考えています。「連弾で身につけた力を活かして、たくさんの仲間とたくさんの楽器で一つの音楽を作っていけるといいな」。
一方、玲広さんは、観葉植物が好きです。部屋いっぱいに置いていて、中でもサボテンが好きでコレクションしています。小学校高学年から高校生にかけては、とても忙しい年代です。玲広さんと花音さんも、勉強や部活を頑張ったり、趣味をもって息抜きしたりしながら、ピアノに向き合っています。

そんなふたりのこれからは……。「ピアノの音色が好き。それに、表現力豊かな楽器であるところも好き」。玲広さんは将来、ピアニストか音楽の先生になりたいと考えています。
花音さんは「ピアノを弾くと自然と笑顔になれる。それが、ピアノの好きなところ」。将来の夢は「ピアニストと気象予報士」。どちらかではなく、どちらもです。「これからも、ピアノも勉強もしっかり頑張って夢を叶えたい」。

 

なんでも言い合えるのは、深い信頼関係にほかなりません。幼いころから共に成長してきたおふたり。自分の好きなことを通じてそうした仲間を持てるのは、とても素敵です。この春からは、ふたりとも中学生。バランスの良さと自由さを兼ね備えた演奏は、これからもっともっと磨きがかかりそうです。楽しみですね。

※文中の学年・年齢は、エントリー時のものです。
※アンケートインタビューは2月上旬に行いました。

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