ヘンデル:クラヴサン組曲第1集第5組曲 ホ⻑調HWV430よりエアと変奏「愉快なかじや」
解説
1685年のドイツに生まれ、主にイギリスで活躍したヘンデルは多くのクラヴサン(フランス語でチェンバロの意)のための楽曲を残しました。この組曲第1集は作曲者自身により1720年に編纂、出版されたものですが、その中には後進の教育目的で書かれた平易なものと、ヘンデル自身が演奏するために書かれたもの−本人のみが理解できるような簡略化された譜面−が混在しており、ヘンデルのクラヴサン曲の全貌を把握することが困難である一因にもなっています。この第5組曲の最終部分にあたるエアと変奏は、「愉快なかじや」という愛称で知られますが、その出どころは不明です。しかし、軽快に金床を打つような楽しげな曲調からその由来が伺えるでしょう。
執筆者:山本大地