5級

リュリ:クーラント

解説

1632年のフィレンツェに生まれたジャン=バティスト・リュリは、ルイ14世統治下のフランス宮廷で活躍した作曲家です。国王の寵愛を受け、数多くのバレエやオペラを作曲した彼は、宮廷舞曲や管弦楽曲の様式にも大きな影響を与えました。クーラントもそのような舞曲の一種であり、「流れるような(courant 仏語)」三拍子の踊りのことを指します。しかし、当時の楽団は現在ほど練度が高くなく、拍子を合わせることは難しかったようです。そのため、指揮者は杖のような大きい指揮棒で床を突いて音を出し、拍子をとっていました。リュリも同様の指揮をしていましたが、ある時、指揮棒で自らの足を突いてしまい、その傷がもとで亡くなってしまったといいます。

執筆者:山本大地

参考演奏