5級

三善 晃:波のアラベスク

解説

三善晃は1933年の東京都に生まれ、東京大学とパリ音楽院に学んだ日本の作曲家です。彼の作品は、⻄洋音楽の形式に則りつつ、音色や和音に独特の手法が用いられており、その音楽は国内外で高い評価を受けました。また、晩年から力を入れた合唱曲は、フランス和声の影響と思われる浮遊感のある響きと日本語のテクストが融合したもので、コンクールの課題曲などにも頻繁に選ばれています。この波のアラベスクは、三善が48歳の時「好きな海のイメージを拾って書いた」と言う曲集、「海の日記帳」の最後を飾る作品であり、寄せては返すさざ波のような、どこか寂しさも漂わせている美しい楽曲です。

執筆者:山本大地

参考演奏