1級

ドビュッシー:喜びの島

解説

この「喜びの島Lʼisle joyeuse」という題名は、18世紀フランスの画家ワトーの絵画「シテール島への巡礼」から着想を得たものであると言われます。シテール島はエーゲ海に浮かぶ島であり、愛の女神ヴィーナスの島であるとギリシア神話では伝えられます。ドビュッシーはパリ音楽院の学生を通じて知り合った銀行家のバルダック夫人と不倫関係にあったと言われ、この作品も彼女との旅行中に書かれたと紹介されることがしばしばありますが、実際にはその1年前に、すでに書き上げられていたようです。ドビュッシーの作品には珍しく、技巧的な要素が多くちりばめられており、愛の喜びが色彩豊かに描かれています。

執筆者:山本大地

参考演奏