7級

ハチャトゥリアン:小さな歌

解説

作曲者のハチャトゥリアン(1903〜1978)は、ロシアの作曲家であり指揮者です。アルメニアをはじめとするカフカス地方の民族音楽を素材にした、生命力のある作品を多く作曲しました。ソ連における、非ロシア的民族主義音楽をリードする立場にあったと見なされます。この曲は、ハ短調の美しくも物悲しい歌です。左手の雨だれのような音形には、胸が苦しくなるような哀しみが内包されているように感じます。メロディーも、シンプルでありながら寂しさを感じさせます。ハーモニーの移り変わりも美しく、ドラマチックな曲です。ゆったりとしながら、あくまで“歌”なので、停滞せず流れを途切れさせないテンポで演奏することが大事であるように思います。

執筆者:今井菜名子

参考演奏