3級

ハイドン:ピアノソナタ Hob.XVI:34 ホ短調より第 1 楽章

解説

この曲は、1784年ハイドンによって作曲されました。ハイドンは、生涯、60曲あまりのピアノソナタを書いていて、この曲は、第53番にあたります。ハイドンのピアノソナタの中でも数少ない短調のこの曲は、明るく、お茶目な曲想の曲が多いハイドンには珍しく、憂いを含んだ曲想になっているのが特徴的です。冒頭、暗い空気で、左右が対話をする様に始まります。そして次第に音域が上昇し、展開部では、左右の役割が交代され、短い再現部で終わります。装飾や弱音の表情が少ない曲で、不安が迫ってくる緊張感、力強さを感じられる曲です。この曲は、短調の緊張感の中にも、美しい旋律もあり、とても表情のコントラストのある曲です。

執筆者:河野百花

参考演奏

冒頭譜例