3級

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第 8 番ハ短調 Op.13「悲愴」より第 1 楽章

解説

ベートーヴェンは生涯、32曲のピアノソナタを残していますが、この曲は、1798年に第8番として作曲された曲です。この曲が作曲された当時、ベートーヴェンの耳は悪くなっていました。そんな中、苦難を乗り越え、「この運命に打ち勝ち、自分の新しい音楽を作り上げて世に出したい」という決意を決めた時期でもありました。この一楽章は、出だしから重厚な和音で始まり、ベートーヴェンらしい、急激なダイナミクスの変化、突然現れるフォルテが多くみられます。最後は、目まぐるしく曲想が変化し、突然急降下し、決然と締めくくられます。ベートーヴェンが苦しい時代を乗り越え、新しい音楽を切り開いた成果でもあるこの曲は、今でも多くの人に高く評価され、初期の代表作として親しまれています。

執筆者:河野百花

参考演奏

冒頭譜例