3級

ドビュッシー:夢

解説

この曲は、1890年にクロード・ドビュッシーが作曲しました。この曲を作曲した当時、28歳とまだ駆け出しの若い時代で、ドビュッシー自身では、あまり良い評価をしてはいませんでした。冒頭が主音、主和音ではなく、サブドミナントで音楽が始まることで、何の調性なのかよく分からず、タイトルの通り、夢幻的な雰囲気が感じられます。また、左手が揺れるようなアルペジオを奏でる上で、右手が静かに歌われます。一つの旋律を左右で交代で奏でるところもあり、「夢」のうつろな表現を表しているようです。この曲は、他のドビュッシー作品に比べて、ドビュッシーらしい独創性は少ないですが、美しくロマンティックな魅力に溢れるこの作品は多くの人に愛され、演奏されることの多い作品の一つです。

執筆者:河野百花

参考演奏